空き家管理サービスが好評?どんなサービス

  • 投稿の最終変更日:2024年3月12日

近年、都市部や地方において増加する空き家問題は、不動産オーナーや地域社会にさまざまな悩みをもたらしています。この課題に対処する一環として生まれたのが、空き家管理サービスです。特に都市部では、急速な高層建築の進展により、一方で郊外や地方では高齢化が進む中、個々の所有物件が放置されるケースが増加しました。高齢者の所有物件が空き家となり、維持管理が難しくなることが問題となりました。さらに、空き家の存在は防犯上のリスクや風化の原因となり、地域社会に悪影響を与えます。また、美観の低下や近隣住民とのトラブルの発生も懸念され、自治体としてはこれに対処する必要が生じました。また、空き家の所有者にとって、現在の居住地から遠方にある物件の定期的な点検・清掃、セキュリティ対策などは手間がかかり、大きな負担となることもあって、本来の目的である資産の有効活用が難しくなりました。これらの事情が増えていることから、所有者が安心して空き家を管理・活用できるよう、プロによる空き家管理サービスが提供され、その市場が拡大しています。

空き家の管理を所有者に代わって代行するのが「空き家管理サービス」

近年、空き家の管理を代行するサービスの利用者が増加しています。その理由にはさまざまな要因が影響しています。空き家管理サービスは、所有者が不在となっている空き家や、所有者が遠方にいるために適切な管理ができない空き家の管理を代行し、維持するためのプロのサポートを提供するサービスです。

空き家管理サービスでは、定期的にプロのスタッフが物件を巡回・点検します。これにより、異常やトラブルが早期に発見され、適切な対応が行われます。空き家は放置されることが多く、雑草やゴミが積もりやすい状況にありますが、管理サービスでは、定期的な清掃や庭の手入れが含まれ、物件が清潔で美観的な状態を保ちます。また、空き家は無人となることから、防犯上のリスクが高まります。そのため、空き家の管理サービスでは、セキュリティ対策として、防犯カメラの設置や不正侵入の防止策が提供されます。

空き家管理サービスの価格は、提供されるサービスの範囲や頻度、物件の広さなどによって異なります。一般的に、月額または年額での契約が行われます。月額料金は数千円から始まり、物件の状態やサービス内容によって上下します。契約期間や特別なサービスの追加によっても価格が変動することがあります。これらの空き家管理サービスを利用することで、所有者は安心して空き家を預けることができ、物件の劣化やセキュリティリスクを最小限に抑えることができます。

空き家管理サービスの内容

空き家の管理を代行するサービスは、所有者が不在の空き家を専門のプロに頼むことで、建物や周辺環境の維持管理を効果的に行うサポートを提供します。この書では、空き家管理サービスの具体的な内容やメリットについて説明します。

郵便物の転送サービス

郵便物の転送サービスは、空き家の所有者に代わり、定期的な郵便物の受け取りと配送を行うものです。郵便物が積み重なり、空き家が放置されていることが外部に知れ渡るリスクを軽減します。具体的には、定期的に空き家を訪問している専門のスタッフが郵便物を受け取り、所有者に転送するか、指定の場所に保管します。

実際、空き家の郵便物が不在時に堆積することで、プライバシー侵害の可能性があります。郵便物の転送サービスは、所有者のプライバシーを守ることができます。また郵便物が外部に溜まると、住居していないことが一目瞭然になり、防犯上のリスクを生じますが、これを軽減することも可能です。

建物内外の清掃サービス

空き家内外の清掃サービスでは、空き家の保守管理を徹底します。屋内や庭などの定期的な清掃や、不要な物の撤去、害虫駆除など、建物をきれいで安全な状態に維持します。これにより、建物の劣化や不動産の価値を低下させることを防ぎます。定期的な清掃やメンテナンスにより、建物の劣化を防ぎ、資産価値を維持し、清潔な状態を保つことで、将来的に空き家を売却するにあたって、資産価値を保持することができ、希望の金額で売却できる可能性も高まります。

樹木の剪定や除草サービス

樹木の剪定や除草サービスでは、庭や周辺の植栽を管理します。これにより、庭にある樹木が建物に影響を与えることを防ぎ、庭が草ぼうぼうになることを防ぐことができます。景観を美しく保ちつつ、周辺環境の健全な状態を保ちます。樹木の枝が建物に触れることを防ぎ、風雨による被害や安全リスクを軽減するとともに、隣家への悪影響を及ぼすリスクを回避することが可能です。

24時間警備サービス

24時間警備サービスは、防犯カメラやセンサーを利用して空き家を常に監視。不審者の侵入や異常な状況に迅速に対応し、オーナーにアラートを送ります。これにより、無人の空き家であっても万が一の出来事に対応することができ、空き家であることを見越した不法侵入の発生を抑制することができます。セコムなど警備会社が提供している空き家管理サービスの場合は、現場へ30分以内に急行するなどの対応も可能になっています。

空き家管理サービスを導入すべき空き家とは?

みなさんには、空き家管理サービスの基本についてご理解いただいたことと思いますが、ここからは空き家管理サービスを導入すべき空き家について、代表的な事例をご紹介します。

将来的に売却の予定がある場合

将来的に不動産を売却する予定がある場合、空き家の管理代行サービスを利用すれば、空き家が適切に管理され、清潔で良好な状態を保つことができることから、将来の売却時に資産価値を維持しやすくなります。売却時にはできるだけ良好な状態で査定を受ける方が、査定額がアップすることもぜひ覚えておきましょう。

定期的な点検・メンテナンスを行う場合

空き家管理代行サービスは、建物内外の定期的な点検やメンテナンスを行います。これにより、空き家に潜む問題や劣化を早期に発見し、修理などを行うことができます。瑕疵のない物件であることを維持できれば、将来的に空き家を売却する場合においても、良質な空き家とみなされることもあり、売却価格がプラスとなることもあります。

将来的に誰かが居住する予定がある場合

将来的に誰かが居住する予定がある場合、空き家の管理代行サービスを利用することで、居住者が快適に生活できる状態を維持できます。特に、庭の手入れや建物の管理などをプロに任せることで、所有者自身が管理業務に時間を割かずに済み、誰がいつ住むことになってもスムーズに入居することが可能です。

事業物件として活用の予定がある場合

将来的に事業物件として活用する予定がある場合、空き家の管理代行サービスを利用することで、物件としての価値を高めることができます。事業物件として活用する事例は、民泊、シェアハウス、第三者への賃貸物件など、さまざまな方法がありますが、建物の状態が清潔で安全なものであればあるほど、事業物件としての活用範囲な大きく広がります。

周辺の住民に迷惑をかけたくない場合

周辺の住民に迷惑をかけたくない場合、空き家の管理代行サービスを利用することで、建物や周辺環境を清潔で美しい状態を維持することができます。これらの対応により、周辺住民にとって好ましい環境であることが確保され、迷惑をかけるリスクを軽減できます。また、空き家が適切に管理されることで、近隣住民の安全感が向上します。防犯対策や異常時の対応が行き届いていることや、空き家に不法侵入する人間の発生を抑制することができるため、住民にとって治安の安定など安心感が増します。

空き家管理サービスが好評?どんなサービスまとめ

近年、空き家の管理代行サービスが好評を博し、利用者が増加している理由にはさまざまな理由があります。空き家の管理代行業者は、プロの管理者やメンテナンススタッフを擁しており、専門的な知識と経験を提供します。これにより、所有者は空き家の管理に関する不安や手間を軽減し、物件を信頼できる専門家に預けることができます。

空き家の管理代行サービスは、定期的で徹底的な点検やメンテナンスを実施します。建物や設備の状態を把握し、問題を早期に発見・修復することで、資産価値を維持し、将来の利用や売却に備える意味でも有効なサービスを提供してくれます。また、空き家にとってセキュリティは重要な要素であり、管理代行サービスは空き家のセキュリティ対策を強化するためにもおすすめのサービスです。具体的には、防犯カメラの設置や不審者への即時対応などが、所有者や近隣住民に安心感を提供し、空き家そのものの安全を確保します。

なにより、空き家の管理サービスを利用することで、オーナーの手間軽減と時間節約がかかることができます。空き家の管理は一定の手間を伴いますが、管理代行サービスを利用することで、オーナーは手間を軽減し、自身の時間を節約できます。平素から忙しいオーナーや、空き家より遠方に住んでいるオーナーにとって、自身の時間が得られることはかなり有益なものとなるでしょう。これらのさまざまな要因から、空き家の管理代行サービスは所有者にとって効果的であることがお分かりいただけたことと思います。

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古いアパートを相続すべき?それとも別の活用方法がある?

  • 投稿の最終変更日:2023年11月30日

両親や親族が賃貸経営をしていたアパートを相続することになるケースが、年々増加しています。いきなり大家になることもできるわけで、不労収益をゲットできるのでラッキーと思う人もいるかもしれませんが、相続した場合に必ずしも利益が得られるとは限りません。また、土地や建物の権利のみならず、アパート経営も受け継ぐのであれば、相続登記以外にもさまざまな手続きが必要になります。

もし、収益性が低いアパートや赤字経営が続いているアパートの場合には、相続するかどうかから、検討しなければなりません。このコラムでは、アパート相続に関して検討すべき事項や注意点について解説します。

親が経営していたアパートが後の世代の負担になる

アパートを相続できるとなれば、土地や建物をゲットできるのでラッキーと考える人も多いのですが、ここは落ち着いて、まずアパートを相続すべきかどうか検討することをお勧めします。もし、故人が所有していたアパートの状況を調べないままに相続してしまうと、アパートだけでなく借金も一緒に相続してしまう恐れがあるからです。また、家賃の滞納など居住者との間にトラブルが残っている場合や、建物や設備の劣化により大規模な修繕を要する場合など、一時期は利益を上げられる見込みがあるものの、将来的にはその利益が吹き飛んでしまうようなリスクを抱えているアパートだって存在します。

そもそも、これからの日本はよほどのことが無い限り、人口が減少します。アパートには一人暮らしの高齢者が住むことも多くなり、それらの住民が身寄りのないまま亡くなってしまったら、部屋の跡片付けなどすべてを大家であるあなたが担うこともあり得ます。これらのリスクについてしっかりと認識したうえで、管理業務も負担にならない形でアパートを引き継ぐことができるのが理想です。アパート経営には、自らがすべての経営を行う方法もあれば、一般的な管理を管理会社に委任する方法もありますので、アパートの経営方法についても相続を機に検討することもおすすめします。

親が経営していたアパートに対する対処法

親が経営していたアパートについて、その経営状況がどのようなものであったのか、子どもの世代は知っていることが少ないと思います。なので、親が亡くなってからアパート経営の状況を初めて見て、相続すべきかを考えなくてはならないことが一般的です。この章では、親が経営していたアパートに対する対処方法について、その代表的なものについて解説します。

そのまま自分が受け継ぐ

相続においては、自分が欲しい財産のみを相続することはできないので、アパートや現金、預貯金などのプラスの財産、借金やアパートのローンなどマイナスの財産、いずれの全てをも相続することになります。そのため、故人が所有していた財産を把握し、特にプラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかを計算しておくことが重要です。

仮に、アパート建築に関するローンが残っていたとしても、それ以外の財産が多い場合にはアパートを含めて、財産を相続してもプラスになるので、相続してアパート経営を引き継いでも良いでしょう。特に、満室のアパートを相続して賃貸経営を引き継げば、自身の不労収益もゲットできます。ただし、相続したアパートがこのまま収益物件として継続できるかどうかは考慮する必要があります。施設の劣化や人口の減少により、マイナス経営になってしまうこともあり得るからです。さらに、自分の子どもの代以降も継続して経営することができるのかも、考慮に入れることをお勧めします。

別の会社に運営を委託する

アパート管理は、経営する賃貸物件の入居者・建物に関する全般的な管理を行う仕事です。不動産などの権利はそのまま維持しつつ、実際のアパート経営に関するこまごました業務を専門の会社に依頼して代行してもらう方法があります。実際にアパート経営に関する業務としては、おもに入居者募集や賃貸借契約の締結、家賃の集金や未収家賃の督促、居住者からのクレーム対応などがあります。また、共有部分の清掃や建物や設備の定期点検などの日常業務に加えて、修繕積立金の準備など将来を見据えたアパート経営の実務支援なども受けられます。

アパート経営は、資格を要しないため、素人がいきなり運営することもできるものですが、きめ細かいサービスを提供する意味では、経験と実績のあるアパート管理会社に経営を委託した方が、入居者も大家も満足することができます。もちろん、委託をする場合には一定の委託料を支払わなくてはなりませんが、クレーム対応や集金などの煩雑な業務から解放されるのですから、高いものではないでしょう。

相続放棄する

故人の遺したプラスの財産よりも、アパートのローンなどの負債が多い場合には相続放棄も視野に入れましょう。

例えば、アパートなどの不動産に関する「プラスの財産」よりも、アパートのローンやその他の借金である「マイナスの財産」がある場合には、相続放棄した方が負担も少なくて済みます。

相続放棄を行うには、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申立手続きが必要です。また、相続放棄する前に相続した財産を勝手に処分してしまうと、相続放棄が認められなくなるので絶対にやめましょう。相続放棄の判断や申立手続きは、相続や法律に関する専門的な知識が必要ですので、司法書士や弁護士等の専門家に相談して行うのが良いでしょう。また、この際には自分以外の相続権利者を交えて話をすることをお勧めします。遺産相続をめぐって、親族間の争いが起きることも多々あるので、十分に留意しましょう。

古いアパートを収益物件にするための方法

古いアパートだからもう相続しない、と決めつけるのは早計です。住みたい人にとって魅力的な物件に生まれ変わらせることができれば、プラスの収益を生み出す物件に生まれ変わらせることもできるのです。次に紹介する方法を実践すれば、収益を生み出す物件にモデルチェンジすることも可能です。

リノベーションやリフォームを行う

リノベーションは、間取りや内装を刷新して、住みやすさや付加価値を向上させる「体質改善」を意味しています。昭和の高度成長期に建築された住宅は、令和の世の中になってみれば古い間取りや内装となっていますが、これを今の暮らしに合わせて改修するのが「リノベーション物件」です。リノベーションには、壁紙や床材などの仕上げや内装を部分的に改修する部分リノベーションと、住宅の構造部分だけを残して解体し、間取りや水回りなどを含めてすべて再構築するフルリノベーションがあります。どうせ借りるなら、住みやすく便利で、且つ新しい場所に住みたいと思う人が多いものですから、それらの人々に訴求する意味でリノベーションやリフォームを行うことはおすすめです。

家賃等を見直す

周辺のアパートの家賃などと比較して、家賃を見直すこともおススメです。古い建物である分、家賃が安いと言うのは今も昔もかわらない「売り方」ですが、家賃を下げすぎると自分の手元にお金が残らないので、極端な値下げはお勧めできません。周辺のアパートなどの相場を確認し、設備の有無なども考慮しながら適切な価格を設定することで、居住者を増やすことも可能です。

付属設備を充実させる

最近のアパートには「Wi-Fi完備」「CS放送見放題」など、間取りや立地条件とは別に付属設備を充実させている事例もあります。引っ越してからすぐテレビが見られたり、インターネットに接続できたりするのは、20代の社会人や10代の学生の人気を集めることでしょう。また、若い女性に住んでほしい場合は「セコム完備」など、安全面に対する付加価値を付けることで、より多くの居住者を得ることもできるでしょう。

企業等に一括して貸し出す

企業の独身寮などとして、建物すべてをまとめて貸す方法です。会社が一括して家賃を払ってくれるので、家賃の未納が生じることがないメリットはありますが、企業によっては外国人実習生を住まわせたりすることもあり、マナーの悪さによる環境の悪化や、日本語が通用しないことによるトラブルがついてくることもあります。

古いアパートを「住居」以外で活用する方法とは?

今までは、アパートを「人が住む場所」として活用する方法をご紹介してきましたが、他にもさまざまな方法でアパートを活用することができます。ここに紹介する方法は、最近流行りの方法なので参考になさってください。

民泊物件

自治体の条例に基づいて、定められた日数以内で民泊を経営することができます。この際、消防設備の設置などさまざまなハードの整備が必要になりますが、インバウンド需要を見越して外国人の宿泊客をターゲットにするなど、安価でかつ寝泊まりが可能な民泊を提供することで、古いアパートが定期的な収益をもたらす物件に生まれ変わることも可能です。

貸倉庫

アパートの間取りをそのまま活かし、貸し倉庫として利用する方法もおススメです。あくまで倉庫ですので、人が住むための設備は撤去や休止をすることも可能ですので、維持管理経費を削減しつつ、一定の使用料収入を得ることができます。都市部を中心に収納スペースを求める需要が高まっているので、都市部にあるアパートの活用を検討されている人にはお勧めの活用方法です。

貸事務所

ここで言う「貸事務所」とは、今どきの言い方をすれば「シェアオフィス」となります。店舗兼住宅のように使うのではなく、郵便を受理するために住所が欲しかったり、自宅でビジネスを行っていたりする人が、来客やミーティングがある時だけアパートの一室を会議スペースや作業スペースとして活用するなどの需要が見込めます。会社法人の設立の際に、アパートの室番号を含めた住所を登記することを許可するなどの取り組みがあれば、ベンチャー企業や個人事業主を中心に需要が高まるでしょう。

古いアパートを相続すべき?それとも別の活用方法がある?まとめ

古いアパートを相続するかどうかは、「将来的に活用のめどがある」「アパートの収益が維持管理費用を上回る(黒字になる)」などの条件を確認したうえで決定するべきです。とはいえ、築年数の経過しているアパートを借りたい人は少ないわけで、アパートとしてそのまま経営するだけでなく、他のビジネス用途に転用して収益物件として活用することもぜひ考えてみましょう。

インターネット上には、アパートの利活用における成功事例が多数掲載されています。これだけ世間でアパートの利活用のノウハウが蓄積されているのですから、あなたが一念発起して始めようとしても、安心して時間をかけて取り組むことができるでしょう。

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不動産取引が大きく変わる?民法改正が与える影響とは?

  • 投稿の最終変更日:2023年11月29日

2020年4月の民法改正では、不動産取引に影響を与える「瑕疵担保責任」部分の民法が改正されました。瑕疵担保責任が廃止され、新たに「契約不適合責任」が制定され、不動産売買にも大きな影響を与える大改正となりました。今回の改正では法体系が国際取引に通用する考え方に変更されたこともあり、海外でも通用する契約行為に変化したものの、今までの日本の慣習とはかなり変化がなされたことにより、しばらくは解釈の疑義が数多く生まれるものと思われています。また、今後の不動産売買契約書は、物件に対する調査が綿密に行われ、海外の不動産取引のような分厚い売買契約書になっていく可能性が想定されています。このコラムでは、契約不適合責任の内容など、新しい民法が不動産取引に与える影響について解説します。

民法が2020年4月に大改正を実施した

2020年4月に改正された民法では、不動産取引にかかる「瑕疵(かし)担保責任」に代わって「契約不適合責任」が設けられました。今までの「瑕疵担保責任」では、媒介の際に生じたトラブルに対して、法律を遵守しなかった責任なのか、契約を履行しなかった責任なのか、責任のあり方が不明瞭になっていました。その結果、責任の範囲や損害賠償の範囲などで論争が生じていたこともあり、訴訟の長期化を招く要因にもなっていたのです。そこで今回の民法改正では、これらの不明瞭な責任部分について「債務不履行責任」と統一することにしたのです。掲載の結果、契約などによって相手方に対して債務を負っている人が、その債務を履行せず損害を与えた場合、民法第415条に基づき損害賠償の義務を負うことになりました。

不動産関係で言えば、2023年4月に施行された民法改正は、近年問題となっている所有者不明の不動産について生じている諸問題の解決を目的としてさらに改正が行われました。不動産関係で言えば、共有財産の処分や工事等を行う場合に「全員一致」でしか決定ができませんでしたが、「多数同意」に変更されたことで、マンションやアパートの維持管理においてスムーズにそれらが行えるようになることが期待されています。

民法改正が不動産取引に与える影響とは?

ではこの章では、民法改正によって不動産取引にどのような影響が生じたのかを解説します。今後、不動産の取得や売却を検討している方には、ぜひ確認をしておいて欲しいです。以降、説明の都合上2020年4月までの民法を「旧民法」、それ以降の民法を「新民法」と明記します。

瑕疵担保責任が廃止された

瑕疵担保責任とは、売買物件に「隠れた瑕疵」が存在する場合、売主が無過失であったとしても損害賠償や契約解除に応じるという責任を明記したもので、旧民法に明記されていたものです。瑕疵担保責任に基づく損害賠償や契約解除は、「隠れた瑕疵」が前提であって、瑕疵が隠れたものでない場合には法的責任は認められないとされていたことから、説明の不十分さによる契約後の係争が相次いだことから、この条文が廃止されたのです。

契約不適合責任制度が導入された

瑕疵担保責任に代わって新民法から明記されたのは「契約不適合責任」です。これは、目的物に契約内容と異なる点があることが分かった場合に売主が負う責任のことをいい、瑕疵担保責任の時の「瑕疵が隠れたものであるかどうか」ではなく、契約内容に適した状況かどうかを優先して考えることになったのです。そのため、瑕疵担保責任の時代には、損害賠償や契約解除の期限が「買主が瑕疵の存在を知った時から1年以内」とされていましたが、契約不適合責任制度になると、買主が契約不適合の状態を知った時点から1年以内に「契約不適合の事実を売主に通知」することで、その後も権利が保全されることとなり、買い主は期間の制限なくさまざまな権利を行使することができるようになりました。

危険負担に関する見直し

危険負担とは、売買契約など契約が成立した後に、債務者にとって責任のない事情で契約が履行できなくなった場合のリスクを、債権者と債務者のどちらが負担するかを定めたもので、新民法では契約が履行不能になった場合には、債務者の責めに帰すべき事由があるかどうかにかかわらず、債権者は契約を解除できることになりました。特に、新民法542条には「債務の全部の履行が不能であるとき」または「債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」などの条件を満たす場合は、契約相手に催告することなく契約を解除することができる「無催告解除」ができるようになりました。これも契約者の権利を保護するために改正された部分です。

具体的に確認したい!不動産取引時の確認ポイント

それでは、この章では新民法を機に不動産取引において、契約書に盛り込んでおくべき事項や、特に確認しておきたいことについて、詳しく解説します。

契約の目的に関する条項

契約には、徐庶にあたる部分に契約の目的に関する条項(目的条項)が記載されています。これを記載すべき理由は、契約解釈の基準となることや、取引の目的を当事者間で明確に共有することを要するからです。不動産取引の場合は「甲が所有する以下の不動産を乙に引き渡す」など、売買契約の主たる目的を明記するために用いられます。不動産売買の交渉において、目的条項の内容を調整する中で、互いに契約に関する認識を共有するため、契約に定めた権利義務を履行することを理解し、契約を順守させる効力が高まります。

売主の表明保証条項

表明保証条項とは、契約当事者の一方が、相手方当事者に対して、一定の事項を表明し、その表明した内容が真実かつ正確であることを保証する項目とされています。土地や建物売買においては、売主が買主に対し、売買の目的物である土地や建物に対して疑義が生じないことなどを表明することや、表明した内容の真実性や正確性について保証するために契約書に盛り込まれることがあります。契約書に盛り込むことで、契約後に問題が発生した場合、表明補償に反する虚偽の事実が明らかになれば、飼い主が売り主に対して損害賠償等を訴えることにできる根拠となり得ます。

売主の担保責任に関する条項

売主が契約を履行しない場合のことは「契約不適合責任」として取り扱いますので、買主として必ず履行して欲しいことを契約書に明記しておくべきでしょう。買主としては、契約不適合責任を課せば課すほど安心して取引ができますが、その責任が重すぎると契約額に影響してしまいかねませんし、売主が契約に応じない可能性があります。特に建物や土地の売買については、その後に発生した問題が「契約前」に起きたのか、「契約後」に起きたのかで係争の要因となりますので、契約不適合責任を定める場合は「タイムライン」や「対象範囲」などを明記しておく方が効果的です。

危険負担条項

いずれの責任にも帰することができない事由で、債務を履行することができなくなった場合、債務者と債権者のどちらが損失を負担するかという問題が生じることから、反対給付の履行を拒むことができるか否かを契約書において定めるのが「危険負担」です。不動産の場合は一般的に買主の代金支払債務が制限され、売主がリスクを負担する考え方であることが多く、これを「債務者主義」と呼びます。売り主にとってはどこからどこまでの責任を負うのかを明確にしておくことで、債務者主義のあいまいな部分を明確にしておくことが必要です。

契約書が膨大な厚みになる?2023年の不動産取引

一般的に、不動産の売買を行う際には、仲介業者を介して行うことが多いです。仲介業者を介して不動産の売買契約を締結する場合は、宅地建物取引業法により、不動産会社が売買契約書を作成し、売主と買主に交付する義務を負います。宅地建物取引業法によって、売買契約書に必ず記載される条項を参考にご紹介すると、次の通りになります。

① 当事者の氏名・住所

② 宅地建物を特定するため必要な表示

③ 既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の 状況について当事者の双方が確認した事項

④ 代金・交換差金・借賃の額、支払時期、支払方法

⑤ 宅地建物の引渡しの時期

⑥ 移転登記申請の時期

⑦ 代金・交換差金、借賃以外の金銭の授受に関する定めが あるときは、その額、授受の時期、目的

⑧ 契約の解除に関する定めがあれば、その内容

⑨ 損害賠償額の予定または違約金に関する定めがあればその内容

⑩ 代金または交換差金についてローンのあっせんの定めがあるときは、ローンが成立しない時の措置

⑪ 天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容

⑫ 宅地もしくは建物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容

⑬ 宅地または建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容

これらの条文の中に、今までご紹介してきた「契約不適合責任」などの条文を盛り込むので、かなり契約書が厚みを増すのではないかと心配される人もいるでしょうが、そこまでにはならないでしょう。最終的には、売主と買主の間で話し合いを行い、決め事をどこまでしておくかで契約書の内容は決まります。

不動産取引が大きく変わる?民法改正が与える影響とは?まとめ

2020年4月の民法改正により、不動産取引に最も影響を及ぼしたのは、売買時の「瑕疵担保責任」が廃止され、「契約不適合責任」が創設されたことです。このことにより、土地や建物に問題があった場合の売主の責任が拡大された形になりました。具体的には、引き渡された対象物が契約内容と適合しない場合、買主は売主に損害賠償請求ができ、契約の目的が達成できない場合は契約の解除ができることになったことに加え、履行の補完を請求できるようになりました。契約不履行が継続した場合には、契約解除や代金減額請求をすることも可能になったので、買主の権利がさらに保障されるようになったと考えていいでしょう。

契約不適合責任が適用されると、売主は最大10年間、買主から何らかの請求を受ける可能性があります。しかし、不動産業者以外が売主となる場合、契約不適合責任は任意規定となりますので、契約書に免責規定が明記されていればそちらが優先されるので、売主が責任を負う範囲はどこまでなのか、はっきりと契約書に記載しておくことが大切です。後で係争の原因となることについては、しっかり明記しておくことがこれからの不動産取引において重要と心得ましょう。

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