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空き家バンクって何?不要な空き家を処分できるかも?

亡くなった両親が住んでいた実家の活用に、頭を抱えている人は、ここ数年増加しています。少子化の進行により、子どもたちはよりよい環境を求めて実家を離れて別の場所に居を構えることが増え、いわゆる「田舎」にある実家には、両親だけが生活していることも増えたからです。そして、両親が亡くなった後には、空き家となった実家や農地、場合によっては山林などがセットで残されるのです。これらの不動産の処分について、子どもたちの世代は苦慮することになります。

そんな令和の世の中において「空き家バンク」が脚光を集めています。空き家バンクは、全国の市区町村が実施している空き家解決のための施策の1つで、空き家を探している人であれば、空き家バンクを実際に見たことがある方も多いのではないでしょうか。逆に、空き家を処分したい人から見れば、空き家バンクの詳しい制度や使い方を知らない方も意外といるかと思います。今回は「空き家バンク」について、使い方やメリットなどを解説します。

空き家バンクは「空き家の利活用を勧める」仕組み

空き家バンクは、自治体が主体となって運営しているサービスです。所有している空き家を貸したい人や売りたい人が登録し、空き家バンクを介して空き家の購入を希望する人が情報を得ることのできるサービスです。この情報を元に、空き家を買いたい人や借りたい人が最良の物件を見つけて申し込み、購入や賃貸ができるのですが、昨今では移住を推進している自治体で「空き家バンク+移住支援」など、さらなる施策を加えて実施している事例も多いです。移住を希望する人に対して、住むための空き家、就労するための職場さがし支援や営農支援、子ども連れの移住に対して保育所等のあっせんや医療費の軽減などを打ち出し、多くの移住者を呼び込もうと必死になっているのです。

自治体にとって、増え続けている空き家は、地域の安全な環境を脅かす問題ともなっています。古くなった空き家が倒壊する危険性があったり、空き家に不法侵入して犯罪の温床になったりするなど、管理の行き届いていない空き家対策は自治体にとっても頭の痛い問題となっています。そんな空き家の増加を防ぐために、空き家バンクなどを有効的に活用することで空き家を減らし、新たな空き家の利活用によって地域の活性化にもつながることから、積極的な空き家利用を目指しているのです。とはいえ、田舎の奥地にある空き家は、存在自体が知られていないため、さまざまな人々に空き家の情報を共有することができれば活用されやすくなると考えられた結果、空き家バンクが登場したのです。

空き家バンクのメリット

では、ここからは「空き家バンクのメリット」について、詳しく解説します。特に、処分を検討している空き家をお持ちの方には、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

不要な空き家を第三者に譲渡できる

自治体によって内容は少しずつ異なりますが、ほとんどの自治体で、空き家バンクを通じて空き家を取得した人を対象として、購入やリフォームに必要な費用の一部を補助したり助成したりする支援をおこなっています。空き家を購入したい人は、売却物件のある地域の自治体がどんな支援をおこなっているか調べて、利用できるものは積極的に利用し用としていますので、該当する地域に空き家を持っている人は、積極的に空き家バンクに登録する方がよいでしょう。

無料で登録が可能

不動産を売買する場合、一般的には仲介業者を通じて物件をゆだね、購入希望者を見つけて媒介契約を締結してもらうことになりますが、取引成立の暁には手数料を支払う必要があります。手数料は基本的に契約額に応じて一定のパーセントとなりますが、正直に言えば手間を掛けなくて済む分、いくらかの利益を持っていかれるわけで、あまり高額で売れるわけでもない空き家の売買で手数料を取られてしまっては、もうけなどほぼ吹き飛んでしまいます。その点空き家バンクの場合は、登録は無料なうえ、売買交渉は直接行うことになるので、売買利益はすべてあなたのものにすることだってできます。

地域に注目してもらうきっかけになる

空き家の存在を明らかにすることで、空き家問題を解決するために協力的な人々の参加を促すことも可能ですし、その地域全体の空き家を活用する機運を醸成し、積極的に移住者を受け入れやすい環境に整えていくことも可能でしょう。特に、移住者は「よそ者」扱いされることから移住を断念して去っていく事例もあることから、移住前にかなりの確認をしているのです。「よそ者」扱いされることがわかっている地域の空き家を購入しようとする移住者などいるわけありませんから、空き家バンクに登録することで一定の安心感を持ってもらえることも事実です。

空き家バンクのデメリット

では、この章では空き家バンクのデメリットをご紹介します。メリットもあればデメリットもあると言うのが何事においてもあるわけで、ここで紹介するデメリットを踏まえて、あなたの物件を少しでも魅力的な物件としてアピールできるようにされることをおすすめします。

登録数が少ないと見向きもしてもらえない

空き家バンクに、100物件登録してある場合と、10物件登録している場合とでは、どちらが魅力的に映るでしょうか。もちろん前者に決まっていますよね。登録すればすぐにでも希望者が見つかると言うのは早計で、多くの物件の中から希望する空き家を見つけたいと思うのが、購入希望者の理想です。なので、すぐにでも空き家を売りたいと考えている人にとって、登録数の少ない空き家バンクはお勧めできないのです。

希望者と直接交渉しなくてはならない

空き家バンクは営利目的ではないため、運営している自治体は契約や仲介に関与していません。そのため、自分で直接利用者と交渉する必要があります。契約を巡ってトラブルにつながる恐れもあることから、かなりシビアな交渉や説明を求められます。

契約までに時間がかかる

②のケースにも準じますが、無事に希望者との交渉が終わったとしても、契約に必要な契約書の文面や手続きは自分で行わないといけませんから、さらに手間は増えます。空き家バンクを運営している自治体によっては、この点のフォローを行う職員を配置している場合もあり、売主の手間を軽減できる可能性もありますが、まずは空き家バンクの運営が「どこからどこまでフォロー」してくれるのかを、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

空き家バンクの成功事例をご紹介

2023年現在、日本各地にはさまざまな自治体が運営する空き家バンクが存在します。この章では、成功事例として名が知られている空き家バンクについてご紹介します。

愛知県瀬戸市

陶芸の「瀬戸焼」で有名な愛知県瀬戸市では、中心市街地の活性化と伝統工芸等の産業振興施策のツールとしての空き家を有効利用することを目的として、平成29年7月に空き家見学ツアーを開催し、その後も市内の空き家物件を紹介する空き家バンクを開設しました。その後も継続して空き家見学ツアーを実施したことで、空き家をアトリエ等として利用したい陶芸家が移住するなど、狙い通りの効果を得ることができました。

長野県佐久市

長野県佐久市の空き家バンクは、移住者の移住そのものに対する相談体制を充実させています。空き家の有力な利用者と考えられている「東京からの移住を考える人」向けに、東京都内の有楽町に相談窓口を設置するなど、東京で勤めているサラリーマンや都内に住む主婦などでも、気軽に移住に関する相談を受けることができることから、空き家バンクの利用者数も相対的に増加しています。2008年からの空き家バンク運営以降、既に400件以上の売買が成立していることからも、その実績がうかがえます。

秋田県由利本荘市

秋田県南部に位置する由利本荘市の空き家バンクは、物件の登録要件を緩和するなど運用を見直したことで登録物件数の増加を図りつつ、県外在住者向けにオンライン内覧を行うなどの工夫を重ねた結果、多くの成約数を誇る成功事例として注目を集めています。市に設けた専門のセクション「移住まるごとサポート課」では、移住希望者に特化して職業や住まいの紹介の他、子育て、医療・介護や地域の情報に至るまで、サポート体制を整えていることから、移住希望者に細かいフォローを行ってくれることもあって、首都圏を中心に多くの移住者を呼び寄せることに成功しています。

空き家バンクって何?不要な空き家を処分できるかも?まとめ

人口減少の続く日本ですが、今後も空き家は今後も増え続けることが見込まれます。空き家バンクは、使われなくなった住居を有効活用することで、特定空き家問題や地方の人口減少の解決になるだけでなく、SDGsが掲げる目標にも大きく寄与する取り組みであることから、今後さまざまな自治体において積極的に取り組まれるものと考えます。

今現在、地方での暮らしに興味がある方、豊かな環境で暮らしたいと思う方は、空き家バンクを利用することで、さまざまな自治体の、さまざまな物件をチョイスすることができるので、まさに絶好の移住チャンスが到来していると考えていいでしょう。

そのことを踏まえて、空き家バンクを運営する自治体側もさまざまなサービスを充実させてくるでしょうから、空き家を処分したい人にとってもまさに絶好のチャンスが到来しているのです。今後使う予定のない空き家をお持ちのみなさんは、ぜひこの機会に空き家の処分を検討されることをおすすめします。

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