堺市西区（さかいしにしく）は、大阪府南部に位置する堺市の西部にあり、大阪湾に面する湾岸部には堺泉北港があり、工業地帯で生産された製品の輸送に用いられています。堺市の人口は、１９６５年（昭和４０年）は４０万人を超えない程度でしたが、２０年後の１９８０年（昭和５５年）には８０万人を突破し、２００６年（平成１８年）には政令指定都市に移行し、区制が導入されました。その時、堺市西区には西区役所（堺市鳳東町六丁）が置かれ、区内の中心地として発展を続けています。

堺市西区の区域は東西に長く、沿岸部にはＪＲ阪和線、南海本線、阪堺電軌阪堺線、阪神高速道路が走り、交通アクセスが充実しています。湾岸部は、臨海工業地帯の一角を占め、発電所や造船所など大規模な工業施設が建ち並んでおり、堺泉北港を中心に物流拠点や貨物拠点が多数設けられています。堺市西区を山側に進むと、緩やかな丘陵地である中央部は、住宅地として開発が進んでおり、堺市の人口上昇の受け皿として活用されています。区域の南部は、堺市南区の境界に沿ってため池が散在し、住宅と農地、自然があふれている理想的な田園風景が広がっています。西区浜寺公園町には釣りなども楽しめる浜寺公園（堺市西区浜寺公園町）があり、区の内外から多くの観光客を集めています。

地名の由来は、古代にこの場所が摂津、河内、和泉の三国の境界であったことから「境」という地名に由来したもので、のちに「堺」に変更されて市の名称にもなりました。室町時代は明や琉球との交易拠点となり、安土桃山時代には貿易港として、経済の中心地にまで発展しました。堺の商人たちは戦国大名の介入を許さないほど、強い住民自治を行っていたことで有名ですが、この時に町の周囲を濠で囲んで武装し、外部の戦乱や外敵から逃れる工夫がなされ、環濠都市を形成したことが、現在の堺市の町並みにも影響を与えています。

堺市西区は、区域の南北をＪＲ阪和線、南海本線、南海高野線、阪堺電軌阪堺線、阪神高速道路が走り、大阪市と大阪府南部地域を結ぶ交通の要衝となっています。ＪＲ阪和線・鳳駅（西区鳳東町一丁）の周辺は商業地と住宅地がバランスよく発展を続けており、乗降客も年々増加傾向にあります。特に鳳南町や浜寺石津町西、浜寺元町には多くのアパートや一戸建て住宅があり、一人暮らしの社会人や学生、小さい子どもと一緒に暮らしている若い夫婦などが多く居住しています。鳳南町にはショッピングモール・堺ロフト（西区鳳南町三丁）があり、１００店舗を超えるテナントと、核テナントであるロフトが多くの若者を引き付けています。

堺市西区の中古住宅は、昭和５０年代に建てられた核家族向けの物件も数多くありますが、平成１０年代に多くの分譲マンションや分譲住宅が建設されており、中古物件も数多く存在しています。間取りとしては２ＬＤＫや３ＬＤＫが一般的で、同様の間取りで作られたタワーマンションが主要駅の周辺に建てられており、南海本線石津川駅（堺市西区浜寺石津町中３丁）には多くの住宅地が分譲されています。古い一戸建て住宅については、ここ数年でリノベーションされた物件も多く、モダンなデザインや最新の設備が整った住宅が増えています。その他ＪＲ阪和線鳳駅（堺市西区鳳東町1丁）近隣には、平成初期に建築された住宅と分譲マンションが多数存在しており、リノベーションに適した中古住宅も多数存在しています。現代ではリノベーション可能な物件をあえて探す若い世代も多くなっており、デザイナーズハウスとしての活用や、シェアハウスや民泊物件として中古物件を活用するケースも増えています。

堺市西区の中古住宅の価格は、２０２３年のデータによると、約２，０００万円から３，５００万円程度と幅広く分かれています。分譲マンションとなると約４，０００万円から４，５００万円程度が平均的です。ただし、具体的な価格は物件の条件によって大きく変わります。特に、駅からの距離や周辺環境が価格に大きく影響します。一方、少し駅から離れたエリアでは、比較的安価な物件を見つけることができます。

ちなみに、４０坪（約１３２㎡）の住宅用地の相場は、約３，５００万円から４，０００万円程度です。この価格帯は、エリアによって異なるため、具体的な場所によって変動します。住宅用地の価格は、特に人気のあるエリアでは高額になる傾向があります。阪和線津久野駅（堺市西区津久野町１丁２）の周辺には、比較的多くの住宅用地が分譲されていますが、３０坪から４０坪程度のやや小さめの宅地が多くなっています。

堺市西区には、公立・私立あわせて１４か所の保育園があります。これらの施設は地域の子育てニーズに応じて多様なサービスを提供しています。公立保育園と私立保育園が多数存在していますが、いずれの施設においてもニーズに沿った保育が行われています。

２０２４年度の堺市西区内保育園への入園希望倍率は０．６７倍となっており、大阪府内でも倍率が低いエリアになっていて、２０２４年度以降もこの状況が当面続くことが予想されています。もともと堺市全体で待機児童がいないことを売りにしており、手厚い保育環境が存在していることを堺市としてもアピールしているところです。

堺市西区は、子育て世帯を支援するためにさまざまな施策を実施しています。西区役所内に併設されている堺市ほほえみルーム (堺市西区鳳東町６丁６００)では、その名のとおり子どもが楽しく遊べて、お父さんお母さんが子育て情報を聞くことが出来る施設です。その他、市内各所に設けられている子育てプラザでは、小学生以上の児童が放課後に安心して過ごすことのできる環境が整っており、自習などを行うことができます。

堺市西区における移住者支援としては、大阪府の制度である新婚・子育て世帯向け分譲住宅購入融資利子補給制度があります。この制度は新婚世帯（夫婦ともに満４０歳未満かつ婚姻届出後５年以内の世帯）または子育て世帯（小学校６年生以下の子どもがいる世帯）で、市内で住宅を民間金融機関などの融資を受けて初めて建築・取得したものが対象となり、住宅ローンに対して年０．５％以内（融資利率を上限とする）、最長５年間の利子補給を行ってくれる制度で、多くの利用者がいます。

また、民間戸建住宅等の耐震診断や改修等補助制度もあります。この制度は、２０００年５月３１日以前に建築された住宅であれば、耐震診断は費用の１０／１１、１戸上限５万円、耐震改修設計は費用の２／３、１戸上限１０万円、耐震改修工事は費用の１／２、１戸上限１００万円、耐震除却工事は費用の１／３、１戸上限５０万円など、様々な補助金の交付が受けられます。

堺市に特化した取り組みとしては、堺市子育て世帯等空き家活用定住支援事業補助金があります。この制度は、堺市内に空き家を取得し、市外転入または市内の賃貸住宅から転居した若年世帯・子育て世帯に対して空き家の取得に要した費用の一部を補助するもので、移住を促進する取り組みとして多くの活用者がいます。

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