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「親から家を相続したけれど、誰も住む予定がない」「実家が空き家になって何年も放置している」。
そんな悩みを抱えている方は、今の日本で急増しています。総務省の調査によれば、全国の空き家は約849万戸にのぼり、住宅の約7戸に1戸が空き家という状況です。これは単なる統計上の数字ではなく、誰にでも起こり得る現実的な課題です。
この記事では、相続や登記義務化に直面している空き家オーナーの方に向けて、売却を成功させるための5つのチェックポイントを詳しく解説します。実際の事例や注意点も交え、行動の指針となる内容をお届けします。
相続登記の義務化が始まった

空き家は放置されることで老朽化が進み、景観の悪化や防犯上のリスク、さらには資産価値の大幅な下落につながります。所有者自身にとっても「使わないのに税金や管理コストだけがかかる」という負担が続きます。近年では地域の安全や環境にも直結する問題として、社会全体で解決すべきテーマとされています。
空き家にまつわる状況を大きく変えたのが、2024年4月から始まった相続登記の義務化です。これまで相続登記は「任意」でしたが、新しいルールでは相続した不動産を知った時から3年以内に登記しなければなりません。怠れば10万円以下の過料に処される可能性があります。これにより「相続したけれど名義をそのままにしている」という人が大きなリスクを抱えることになりました。
つまり「相続したけれど登記していない」「誰が所有者かはっきりしていない」という状態は、もはや看過できない問題なのです。売却を考えても、登記が済んでいなければ契約は成立しません。
空き家売却の第一歩は相続登記

空き家を売却するための第一歩は、相続登記を済ませることです。
「名義変更は後でもいい」と思っている人は意外に多いのですが、名義が被相続人(亡くなった方)のままでは売却契約は一切できません。不動産の売買は登記簿に記載された所有者と買主との間で行われるため、登記が済んでいなければ法的な取引は不可能なのです。
法律改正により、相続人は不動産を相続したことを知ってから3年以内に相続登記を行う義務を負うようになりました。これを怠ると、正当な理由がない限り10万円以下の過料を科される可能性があります。これは国が「空き家問題を放置させない」という強い意思を示したものでもあります。
実際の事例を見てみましょう。ある50代の女性は、父親が亡くなった後も実家を空き家のまま放置していました。数年後に売却しようとした際、相続登記が済んでいないことに気づき、急いで手続きを開始。しかし相続人が兄弟で3人おり、意見調整に時間がかかりました。その結果、買主候補が現れても契約まで半年以上も遅れてしまったのです。
このように、登記を後回しにすると売却のチャンスを逃すばかりか、家の劣化や市場環境の変化で価格が下がるリスクもあります。空き家を売却しようと考えるなら、「登記がまだ」という状態をまず解消することが最重要です。
相続人との間の合意形成を早めに進める

相続した空き家をめぐってもっとも多いトラブルが、相続人同士の意見の対立です。
「早く売却して現金化したい」と考える兄と、「思い出のある実家だから残しておきたい」と主張する妹。こうした感情のすれ違いが原因で話し合いが平行線をたどり、結果として売却が長引くケースは少なくありません。時間が経てば経つほど、固定資産税や維持費が膨らみ、空き家の劣化も進みます。つまり「感情の対立が資産の目減りを加速させる」状況に陥ってしまうのです。
実際に不動産会社へ相談に来るケースでも、「兄弟の一人が話し合いを拒んでいる」「相続人の一人が行方不明で連絡がつかない」という理由で売却が進まない事例が多く見られます。このような場合、最終的には家庭裁判所で「遺産分割調停」を行うしかなく、解決までに年単位の時間がかかることもあります。
そこで重要なのが、早めに合意形成を進めることです。司法書士や弁護士といった法律の専門家に間に入ってもらえば、感情的な対立を和らげながら資産価値や維持コストといった客観的な指標を基に話し合いを進めることができます。不動産会社の担当者も第三者として間に入り、売却後の資金分配についてシミュレーションを示すことで、納得感を高めるサポートが可能です。
あるケースでは、兄弟間で対立が生じていたものの、司法書士が「もし今後5年間売却できなければ、維持費がどれほど増えるか」を数字で示したことで、全員が売却に同意したという事例があります。感情だけではなく、数字と事実に基づく説明が合意形成のカギになるのです。
修繕の必要性を冷静に判断する

相続した空き家を売却する際、多くの人が悩むのが「修繕をすべきかどうか」です。築40年以上の古家では、屋根や水回りに深刻な劣化が見られることも多く、修繕には数百万円規模の費用が必要になることもあります。しかし、すべての修繕が売却価格に直結するわけではありません。
例えば、地方都市の郊外にある築50年の木造住宅を想定してみましょう。リフォームに300万円をかけても、売却価格がそれ以上に上がらなければ投資は無駄になります。一方で、都市部の駅近物件であれば、キッチンや浴室といった水回りをリフォームするだけで購入希望者が増え、結果として売却価格が上がる可能性もあります。
つまり、修繕は「すればよい」というものではなく、「修繕によってどれだけ売却価格が変わるか」を冷静に見極める必要があるのです。そのためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、修繕後の予想価格と現状のままの価格を比較することが欠かせません。査定額の違いを見れば、その家に投資する価値があるかどうかが明確になります。
実際に、あるオーナーは「現状渡し」の形で売却したところ、買主が自分の好みに合わせて全面リフォームする意向を持っており、修繕に費用をかけなくてもスムーズに契約が成立しました。逆に、築30年でまだ活用可能な家を簡単にリフォームして売り出したケースでは、競合物件との差別化ができ、短期間で成約につながりました。
修繕の可否を見極めるには、感情よりも市場の需要とコストのバランスを冷静に判断することが必要です。
売却チャネルを比較する

相続した空き家を売却する方法は、必ずしも「近所の不動産会社に任せる」だけではありません。選択肢は幅広く、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要です。
まず、地域密着型の不動産会社は、地元の事情や購入希望者の傾向をよく把握している点が強みです。地元で「土地として買いたい」という需要が強いエリアでは、スピーディーに売却できる可能性があります。ある地方都市では、駅から離れた築古住宅でも、農地転用や駐車場需要に詳しい地域業者が迅速に買い手を見つけた事例がありました。このように「地元の市場を知っている」ことは、短期間での売却に直結するのです。
一方、大手不動産会社は全国規模のネットワークを持ち、広域の顧客層にアプローチできます。都市部や地方移住希望者、さらには投資家など、多様な買主候補を対象にできるため、価格を重視してじっくり売りたい場合に向いています。広告力やブランド力も高く、インターネットを通じた集客力は地域業者よりも強いことが多いのも特徴です。
さらに選択肢として注目されるのが、自治体が運営する「空き家バンク」や支援制度です。これは地方移住を促進するために、自治体が空き家情報を公開し、購入希望者とマッチングする仕組みです。制度によっては、購入者に補助金が出たり、リフォーム費用の一部が助成されたりすることもあります。たとえば、ある地域では「空き家を購入して移住する人に最大100万円の補助金を交付する」という制度があり、それを利用した結果、通常より高い価格で売却に成功した例もあります。
このように、どのチャネルを選ぶかによって売却のスピードや価格、買主の層が大きく変わります。相続した空き家の立地や状態、オーナー自身の希望に応じて最適な方法を選ぶことが、失敗しない売却への近道なのです。
税金と法制度を理解しておく

空き家の売却にあたって、避けて通れないのが税金と法制度です。
まず相続税です。相続時に不動産が課税対象になる場合、評価額に応じて税額が決まります。都市部の土地や二世帯住宅など評価額が高い不動産は、相続税の負担も大きくなります。特に兄弟姉妹など複数人で相続する場合、税負担の分配方法を巡ってトラブルになることもあります。
次に固定資産税です。空き家を放置した場合、倒壊や防犯上のリスクがあると自治体から「特定空家等」に指定される可能性があります。一度指定されると「住宅用地特例」が適用されなくなり、固定資産税が数倍に跳ね上がるケースがあります。つまり、「空き家をそのままにしておく」ことは、単なる放置ではなく、税金負担という具体的な損失につながるのです。
さらに売却時には譲渡所得税がかかります。売却額から取得費や譲渡費用を差し引いた利益が課税対象となります。ただし相続によって得た空き家には大きな節税制度があります。それが「被相続人居住用財産の3000万円特別控除」です。一定の条件を満たせば、最大3000万円までの譲渡所得を控除でき、大幅に節税できます。この制度を知らずに通常通り申告してしまい、本来払わなくてもよかった税金を納めてしまう人も少なくありませんので、事前の知ら調べを忘れないようにしましょう。
まとめ
空き家の売却をスムーズに進めるために必要なのは、今回ご紹介した5つのステップです。相続登記を最優先で済ませること、相続人同士の合意形成を早めに進めること、修繕の要否を冷静に判断すること、売却チャネルを比較検討すること、そして税金と法制度を理解しておくことです。
特に2024年の相続登記義務化は、空き家を所有する人にとって「待ったなしの課題」です。登記を済ませておけば、売却の準備もスムーズに進み、余計なトラブルを避けることができます。逆に、登記を放置すれば過料のリスクだけでなく、売却の機会を失い、資産価値を減らすことになりかねません。
空き家は放置すれば「負の遺産」となります。しかし、適切に管理し、登記と税制を整えたうえで売却を進めれば「次の世代に活かせる資産」へと変えることができます。「まだ大丈夫」と思っているうちに、相続人間の対立や税金負担で身動きが取れなくなるケースは珍しくありません。
ある不動産オーナーはこう語っています。「最初は面倒だと思ったが、登記を済ませて専門家に相談したことで、売却までの流れが一気にスムーズになった。行動を後回しにしなかったことが結果的に家族を助けた」。
今こそ一歩踏み出し、空き家を未来に活かす選択をしてみてはいかがでしょうか。登記義務化の時代において、早めの行動こそが最大の武器となります。
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