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放置は危険!空き家管理でやるべき5つの基本

「実家を相続したけれど、誰も住んでいない」「転勤で長期不在になり、家が空き家状態になっている」。

こうした悩みを抱える人は年々増えています。総務省の住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家数は849万戸を超え、住宅総数の13.6%に達しています。これは日本に存在する住宅の約7戸に1戸が空き家であることを意味し、社会的にも非常に深刻な問題です。

では、どうすれば空き家を安全かつ価値ある状態で維持できるのでしょうか。ここでは、空き家オーナーが最低限やるべき5つの基本管理を、実際の事例や注意点を交えながら解説していきます。

空き家が引き起こす諸問題

空き家を放置すればするほど、建物の劣化は加速度的に進みます。屋根からの雨漏り、湿気によるカビやシロアリ被害、雑草の繁茂による景観悪化。さらに「人の気配がしない家」は犯罪の温床にもなり、不法侵入や放火などのリスクが高まります。こうした事態は所有者だけでなく、近隣住民にとっても迷惑となり、時にはトラブルの火種にもなります。

加えて、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、適切に管理されていない空き家は「特定空家等」に指定され、自治体から指導や命令を受ける可能性があります。さらに、これまで住宅用地に適用されていた固定資産税の軽減措置が外され、税金が数倍になることもあります。つまり、空き家を放置することは「資産価値の低下」だけではなく、「経済的な負担増」にも直結するのです。

定期的な換気と掃除 ― 家を呼吸させる重要性

人が住まなくなった家は、驚くほど早く傷んでいきます。その最大の原因は「湿気」です。家は人が生活することで自然に換気され、湿気が外へ排出されます。しかし空き家になると空気の流れが止まり、湿気がこもることでカビの発生や木材の腐朽、シロアリ被害が一気に広がってしまいます。

実際に、半年間空き家を放置しただけで畳一面にカビが生え、壁紙が黒ずみ、家全体がカビ臭に覆われたという事例もあります。こうした劣化が進むと、修繕費用は数十万円から数百万円に膨れ上がり、売却する際にも価格が大幅に下がる要因になります。

これを防ぐには、定期的に窓を開けて空気を入れ替えることが欠かせません。少なくとも月に1回は家に立ち入り、各部屋の窓を開けて20〜30分程度換気を行うのが理想です。その際、押し入れや収納スペースも開け放ち、空気を循環させることが重要です。

また、掃除も並行して行うべきです。床に溜まったホコリは湿気を含んでカビの原因になります。掃除機をかけ、雑巾で水拭きをすれば清潔な状態を保てます。さらに、水道を止めている場合でも、排水トラップに少量の水を流しておくことを忘れてはいけません。これを怠ると下水から悪臭や害虫が侵入するリスクが高まります。つまり、空き家を「呼吸させる」ことが最初の管理の基本なのです。

庭木・雑草の手入れ ― 外観は防犯にも直結する

空き家管理で見落とされがちなのが、庭や敷地の手入れです。人が住んでいない家は、外観にこそ大きな差が表れます。庭木が伸び放題になり、雑草が腰の高さまで繁茂している光景は、通りがかった誰の目にも「この家は空き家だ」と伝わってしまいます。

こうした状態は防犯上きわめて危険です。不法侵入や放火、さらにはゴミの不法投棄の標的になりやすくなります。また、隣家の敷地に枝が越境したり、雑草の種が飛んだりして近隣住民に迷惑をかけることもあります。実際に「お宅の庭木が道路にはみ出して通行の邪魔になっている」と苦情を受け、近隣トラブルに発展した例も報告されています。

そのため、外観を整えることは単なる美観の問題ではなく、防犯や近隣との良好な関係を守るためにも不可欠です。具体的には、年に数回は庭木を剪定し、雑草を刈る必要があります。自分でできない場合は、造園業者やシルバー人材センターに依頼するのも一案です。最近では、空き家管理専門の業者が「草刈り込みの管理パッケージ」を提供しているため、それを利用する人も増えています。「庭が荒れているかどうか」で、その家が管理されているか否かが一目でわかります。つまり庭木や雑草の手入れは、資産価値を守ると同時に、地域社会に対する所有者の責任を果たす行為でもあるのです。

郵便物・チラシの整理 ― 放置は防犯リスクを高める

空き家の防犯で意外と見落とされがちなのが、ポストに溜まる郵便物やチラシです。ポストがチラシであふれ返っている状態は、周囲に「この家は人が住んでいません」と宣言しているようなものです。空き巣や不審者にとって格好の目印となり、侵入被害につながる可能性が高まります。

さらに問題なのは、郵便物に含まれる個人情報です。電気・水道の請求書、金融機関からの通知書、クレジットカード会社からの封筒。これらがそのまま放置されれば、個人情報の流出や悪用につながる危険があります。実際に、ポストから抜き取られた書類を悪用され、詐欺や不正利用に巻き込まれた例も存在します。

対策としては、定期的に郵便物を回収することが第一です。自分で管理できない場合は、信頼できる知人に依頼するか、郵便局の転送サービスを利用する方法もあります。現在の住居に郵便物を送ってもらえば、重要書類を見落とすこともなく、防犯上のリスクも大きく減らせます。

また、ポストに「チラシ投函ご遠慮ください」と掲示するだけでも、不要な紙類の投函をある程度防ぐことができます。近年では、空き家管理サービスが「郵便物回収」をメニューに含めており、定期的に中身を写真で報告してくれるケースもあります。こうした仕組みを活用すれば、遠方に住んでいるオーナーでも安心して管理を続けられるのです。

火災保険・地震保険の確認 ― 空き家こそリスクが高い

「人が住んでいないから保険は必要ない」と考える方は少なくありません。しかし実際には、空き家だからこそ火災や自然災害のリスクが高まるのです。空き家は人の目が届かないため、火の不始末や漏電に気づきにくく、放火の標的にもなりやすいとされています。また、地震や台風で屋根瓦や外壁が崩れた場合、近隣の住宅や通行人に被害を及ぼせば、所有者が損害賠償責任を負うことにもなります。つまり、空き家を所有することは潜在的なリスクを背負っているのと同じなのです。

さらに注意すべきは、契約している保険が「居住用」を前提にしている場合です。例えば火災保険は、居住者がいることを前提に補償内容が設定されていることが多く、空き家になった時点で補償範囲が制限されたり、場合によっては適用外になることもあります。実際に「居住者がいないことを保険会社に知らせていなかったため、火災が起きても補償を受けられなかった」という事例も報告されています。

このような事態を防ぐためには、現在加入している保険が「空き家」であっても適用されるのかを必ず確認し、必要に応じて「空き家向け保険」に切り替えることが必要です。最近は、定期的に巡回点検をすることを条件に、空き家を対象にした火災保険や地震保険を提供する保険会社も増えてきました。費用は月々数千円からですが、もしもの時に数百万円、数千万円の損害をカバーできると考えれば、決して高い投資ではありません。

保険を見直すことは、空き家オーナーが背負うリスクを減らし、安心感を得るための重要なステップです。

管理代行サービスの活用方法 ― 遠方でも安心の仕組み

「空き家の管理が必要なのはわかっているけれど、遠方に住んでいて通うのが難しい」「仕事が忙しくてなかなか足を運べない」。そんな悩みを抱える人は少なくありません。その解決策となるのが、専門の管理代行サービスです。

管理代行サービスでは、所有者の代わりに専門スタッフが定期的に家を訪問し、室内の換気や簡単な掃除、郵便物の回収、庭木や雑草の手入れ、雨漏りや外壁の点検などを行います。サービス内容によっては、巡回時に撮影した写真や点検報告書をメールで送ってくれるところもあり、遠方のオーナーでも現状を把握できます。

例えば、ある地方に空き家を持つ首都圏在住の男性は、月1回の巡回サービスを依頼しました。スタッフが換気と清掃を行い、郵便物を整理して報告してくれるため、家の状態が良好に保たれ、近隣からの苦情も一切なくなったといいます。結果的に、売却を検討する際にも建物が劣化していなかったため、スムーズに契約が成立しました。

管理代行の費用は月々5,000円〜2万円程度と幅がありますが、放置による劣化やトラブルで数十万円、数百万円の修繕費用がかかるリスクを考えれば、むしろ安い投資といえるでしょう。最近では、自治体が地元の事業者と連携して「空き家管理支援制度」を設けている場合もあり、費用の一部が助成されることもあります。つまり「自分で管理できないなら、専門家に委ねる」という選択は、空き家オーナーにとって現実的かつ安心できる方法なのです。

まとめ

ここまで解説してきたように、空き家を所有する以上、放置は大きなリスクを伴います。資産価値の低下だけでなく、税金の増加、近隣トラブル、さらには法的責任にまで発展する可能性があります。しかし、基本的な管理を実践すれば、こうしたリスクを大幅に減らし、家を「負の遺産」から「活かせる資産」へと変えることができます。

定期的な換気と掃除で湿気や劣化を防ぐこと。庭木や雑草を整えて外観を保ち、防犯と地域の調和を守ること。郵便物やチラシを整理して、不法侵入のリスクを下げること。火災保険や地震保険を見直して、万が一に備えること。そして、自分で管理できないときには管理代行サービスを活用して安心を確保すること。

この5つの基本を守るだけで、空き家は確実に「安全で価値ある状態」に維持できます。ある空き家オーナーは「放置したままでは不安しかなかったが、管理を始めたことで家に対する見方が変わり、売却や活用の選択肢も広がった」と語っています。

空き家管理は、所有者にとって責任であると同時に、未来への投資でもあります。「まだ大丈夫」と後回しにするのではなく、今日から一つずつ行動を始めてみましょう。その一歩が、資産を守り、地域を守り、家族の安心を守ることにつながるのです。

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